11:28

 自分の恐怖を煽って、いざ入坑。

 早速、闇が襲う。そして、風の音も消え、静寂が始まる。

 壁には、枕木が立てかけられている。崩落は無く、意外に程度が良い。
11:30

 やはり、待避所。でも蒸気機関車の煤のせいなのか、表面が黒く染められ、怪物の棺桶のようにも見えた。

 そのすぐ脇に木で覆われた箱状のものがある。何だろ?
 この後も待避所のたびにこれがあった。何だろ?

 
11:31

 光りを振り返る。ここは意外に真っ直ぐだ!

 実は、最後までこの光りは見える。もちろん距離に比例して、小さなものに変わっていき、当然、光りは届かない...
 しかし、地獄へ彷徨い歩く俺を導く一筋の希望の光に見えた。自分を見失わないように時々振り返り、居場所を確認した。こうしないと本当に気が狂うほどの無の世界なのだ...
11:32

 白い結晶?

 路面に落とされた白い結晶。最初は、霜柱にも思えた。しかし、触ってみても溶け出さない、さらさらした感触だった。氷ではない、何かの物質が路面からしみ出て結晶化したものか!?

 いったい何なのか?