すぐ近くを雄物川を流れるが、ちょっと山間に入ると誰も住まなくなった集落がある。農作業用として使われるようになった建物が数棟残るのみで生活の臭いはしなかった。
 ここは主要地方道36号線。大森町大森。牛ヶ沢への分岐点である。

 標識を見ると、未だ牛ヶ沢の文字が!

 集落としては使われなくなったが、地名は未だ生きていた。
 
 桜はまだつぼみ。ちょっと入るだけで、一気に寂しい通りとなる。

 
 ちょっと入口がわかりづらかった。車で走っていれば、気づくことなく過ぎているだろう。

 牛ヶ沢へは、ここを左側に入る。

 

 注: 文字用の領域がありません!
 早速未舗装路が始まる。交通量に比例して、必要度の低いこの道は、舗装されることなく数km続くことになる。
 辺りに畑もなくなり、林間を縫う寂しい林道となっていった。

 この奥に本当に集落などあったのだろうか!?

 

 注: 文字用の領域がありません!
 ぱっと、視界が一気に開け、周りが明るく感じる。

 耕作前の水田が広がっている。
 耕地のいくつかは放棄され、雑草が生い茂っている。

 近くに移転できなかった住民の忘れ物か...

 

 注: 文字用の領域がありません!
 さらに奥へと進むと農作業用に使われていると思われる建物があった。

 しかし、住む者のいなくなった建物というものは、なぜにこうも早く老いるのだろう!?

 なかに見えるのはもちろん廃車である...
廃村 牛ヶ沢
現役時の戸数   三戸
移転した年   昭和五十八年
最寄りの集落からの距離

 舗装路    0.0km
 
 未舗装路   1.3km
 集落の最奥には、この地区の溜池が湛えられていた。

 稲作が中心の集落では、水のやりとりで戦があったほど、水は命に等しいほど大切な資源である。その水を溜めるために、どの集落でも溜池は大事にされている。
 帰り道、杉林の中に墓地を見つけた。

 住民は望まない移転を強いられ、ここを離れたが、先祖は未だここで、この土地を守っていた...
 

 
 帰りは、この集落へ入ってきた道とは反対の道に進んでみることにした。

 最近は、水路は整備され、虫や魚など住みづらい形になっているが、ここにはまだ、きれいな小川が流れていた。
 そして、最後に、現代に帰る橋を渡り、牛ヶ沢をあとにした...